Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
与八を捨てたのは誰だかわからないが、拾った人はよくわかっている。わかり過ぎるほどわかっている。机竜之助の父の弾正が、江戸からの帰りがけに通り合わせて、捨てられてからまだ二時とは経たない間に、それを拾い上げて、その時も今と同じように、弾正は江戸から馬で来て、拾うのは従者に拾わせたが、自分が抱き取って、沢井まで馬に乗せて連れて来たものです。
それから後の与八の生立ちは、当人にも、周囲の人たちにも、わかり過ぎるほどわかっているにかかわらず、今以てわからないのは、それは与八を捨てた人です。この子を捨てたのは誰だ――弾正はあまり強いて、それを探索させようとはしませんでした。どのみち、子を捨てるくらいの親には、親として忍びない事情と、理由があるに相違ない。それを探索して、当人に引渡してみたところで、どれほど両者の幸福が回復するのだろう。
そこで、弾正は、自分が拾った以上は、自分に授かったものだ、よかれ悪しかれ、この子の運命を見届けようではないか、という気になって、自分の子と同様に、可愛がって育ててやったものです。
体格が異常に発達し、力が一年増しに強くなるに反して、知恵の廻りが遅いことを認めて弾正は、いっそう不憫がりました。