Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

どういう気まぐれか、このかりそめの場で、七兵衛は、与八のために、将来の女房の心配まではじめたが、やがてかたわらの絵馬を手にとりながら、

「いや、よけいなお節介で長話をしてしまった、人間はあとのことを振返らねえで、先のことを考えなくちゃいけねえ」

と言いながら、例の絵馬をパリパリと引裂いて、炉の中に投げ込んでしまいますと、絵具のせいか、火が血のような色をして燃え立ちました。

七兵衛は立ち上りながら、絵馬の燃え上る火の色を見ていいました。

「若い衆さん、お前、人間の首の梟物を見たことがありなさるかい。見ない方がいいねえ、わけて出世前の者は、そんなところは見ない方がいいがねえ」

と言いました。

「まだ、そんなところを見たことはありましねえ、見ようとも思わないねえ」

と与八が答えました。

「そうだとも、見ようとも思わないのが本当だ。お上だって、好んで見せたいから梟すわけじゃあるめえ。まして首を斬られて、梟される御当人と来ちゃ、これも酔興とはいえねえが、それでもあんなところへ上りたがる首が、いつになっても絶えねえのは浅ましいことだね。若い衆さん、お前だって長い一生には、いつそんなものを見せられねえとも限らねえのだから、心得のために覚えておきなよ、引廻しになっても、ならなくても、いよいよこの首が浅右衛門さんあたりの手で、血溜り