Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
泊り泊りで渋皮のむけた飯盛を見れば、たまには冗談の一つもいってみたいのは人情でありましょう。
ところが、米友というものが、前後左右に眼もはなさず頑張っているから、たまらない。
そこで、多分、夜中に、米友の寝しずまった頃をうかがって、そっと抜け出して、戸惑いをしてみたことが、一度や二度はあるのだろうと思われます。しかし不幸にして相手が米友ですから、眠っていても畳ざわりの音で眼をさます。そうして、道庵の脱線を難なく取押えてしまう。取押えられる度毎に、道庵は手のうちの玉を取られたほどに残念がることも、一度や二度ではなかったらしいが、そこはうまくバツを合わせて、米友を言いくるめてしまっているらしい。
そうなると、米友の責任観念がいっそう強くなって、警戒ぶりがいっそう厳重を加えるものですから、道庵は窮屈でたまらない。
そこで、ただいま、神妙に本を読み出したのなんぞも、こうして米友を安心させておき、油断を見すますの軍法かも知れません。さればこそ、寝入りながら、「つまらねえなあ」と嘆息したのも、この監視つきに対してのやる瀬なき鬱憤を漏らしたものと見れば、見られないこともないのです。