Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

「はい、まことにお耳ざわりになって、申しわけがございませんでございます」

と、その男は道庵の方に向いて、恐る恐るおわびのお辞儀をしますと、

「お前さん、いい年をして、泣くほどの切ないことがあるなら、まあ物はためしだから、わしに打明けて話してごらんなさい、わしも長者町の道庵だ」

といって、中へ乗込んでしまいました。

「恐れ入りました」

中なる男は、かなり迷惑しているらしい。長者町の道庵だと名乗ったところで、長者町界隈でこそ押したり、押されたりするが、木曾の山の中へ来てそれが通ろうはずがないのを、道庵はいい気になって、早くも、その男の向う前へ坐り込んでしまい、

「見たところ、お前さんも男として、そうしてしくしく泣いていなさるというのは、よくよくのことだろうとお察し申す、まあ、話してみな……悪いようにはしないから」

道庵は持合せのきせるを取って、すっかり長兵衛を気取ってしまいました。

「それではお恥かしい話でございますが、お言葉に甘えまして、身の上話を一通りお聞き下さいまし」

「なるほど」

「わたくしは美濃の国の落合というところの百姓でございますが、この福島へ馬を買いに参りました」