Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

ここへ来て、まともに、わが家の火の全景を見渡した時、はじめて冷然として、その持てるところの強味が、土から生えたもののようであります。

これに対して弁信の落ちつきは、例によって、憂うるが如く、愛するが如く、憐れむが如きの冷静であります。

弁信が冷然として答えずにいると、冷然として昂奮してきたお銀様が、

「ごらんなさい、この地上に、あれほどの力を持った暴君がありましょうか」

「暴君とおっしゃるのは」

「ごらんなさい、私の家は、王朝以来の家柄だと申しておりました、甲斐の国では、並びのない大家だとかいわれておりました、それをあの火は、一晩のうちになめてしまいます」

「お嬢様――あなたは、それがいいお気持なのですか」

「まあ、お聞きなさい、人の惜しがるものでも、惜しがらないものでも、火はああして平等に灰にしてしまいます」

「平等という言葉は、左様な時に用うべき言葉ではありません」

「それでも、火には依怙贔屓というものが絶対にないではございませんか、焼けるものと、焼けないものとは、火の力の度の加減があるのみで、この地上で、火に焼けないものとて、何一つもありません」

「いいえ、あります、あります」