Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme
「それは神主サンでございますよ、ねえ、池田先生、先生も御存じでしょう、松本の藤江正明老人は神主様であって、また歌人としても、相応に知られていますね」
北原賢次は、池田良斎を顧みて駄目を押しますと、池田良斎は、無言でうなずいて見せました。
そこで山の通人が、またせき込んで、
「その老人で、神主で、歌よみだという人が、どうしたのだ?」
「まあ、せき込まずにお聞き下さい。この老人は、今が七十歳の老年でございますが、日本の高山という高山は、たいてい登っておりますよ。念を押しておきますが、藤江翁は神主さんでございます」
「…………」
「もう少し詳しくお話し申しましょう。ある年、この藤江老人は加賀の白山に登りましたが、途中で暴風雨にあい、一週間、山中の小屋で水ばかりで生きており、雨がやむと、その足で頂上へのぼり、ゆるゆる遊覧して下山し、宿屋の者を驚かしました」
「そりゃ、あんまり……」
「まあ、お聞きなさい。それから藤江老人が、この乗鞍へ登った時も、頂上で暴風雨にあいました。動くとあぶないから、岩に身を寄せて待っていると、七ツ時から始まった暴風雨が、翌日の五ツ半時まで、ちょうど十七時間つづきました。