Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 285.635 Zeichen · 558 Bildschirme

Aozora Bunko

弁信さん――

あなた、よく教えて下さい。覚えのない妊娠ということがありますか。

父のないのに、子というものが生れるものでしょうか……

わたしは、この苦しい思いを打明けて、誰にも相談することができません。

こんな時こそ、せめて、あのいやなおばさんでもいてくれたら、かえっていい相談相手であったかも知れませんが、今はその人さえおりません。

ぜひなくこうして、遠いところにいるあなたに手紙で御相談をかけてみる、わたしの胸の苦しさをお察しください。

よく、昔の本などには、物の精に感じて、身持になった女があるそうですが、わたしのもそんなのではないでしょうか。

今の世でそんなことを言えば笑われてしまいます。

身持になったわたしを、だれも、不義いたずらの結果と見ないものはありますまい。

郷里へ帰れば、知れる限りの人の指が、わたしの身体へ蜂の巣のように突き刺されて、そのあざ笑いの痛さ、冷たさが、想像してさえ骨身にしみるようです。

万一、これが本当の身持であったなら、どうしても、わたしは故郷へ帰れません……

そうかといって、身二つになるまでここに保養をしていて、それからどうなるのです。どちらを行ってもすたり物ではありませんか。