Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

お雪は、仏頂寺の面を見てゾッとしました。

もう少しおきゃんな子であったら、いきなり仏頂寺の面をハリ飛ばしたかも知れません。寛容なお雪にしては珍しいほど、憎悪の念が、この時にこみ上げて来ましたが、その次には、ほとんど座にたまらぬほど、恐怖の念さえ加わってきましたものですから、

「どうも失礼しました、御免下さいまし」

と自分がわびて、火のしを持って立とうとするのを、仏頂寺が、

「まあ、よいではないか、取って食おうとも言やしませんよ」

それでもお雪は、取って食われるより怖ろしくなったが、幸いなことに、その時、廊下で足音がしたのは多分、この部屋のあるじ、宇津木兵馬が立戻って来たのでしょう――そのすきを見てお雪は、むしゃくしゃにこの座敷を飛び出してしまいました。

仏頂寺弥助は、その時、もうすっかり旅の仕度をしておりました。

お雪が逃げ出したあとへ、入違いに入って来た宇津木兵馬を見て、

「宇津木、さあ出立しよう」

「おや、もう帰るのか」

「こんなところに、いつまで愚図愚図していても仕方があるまい、立つときまったら早い方がいい」

「それでも、あんまりあわただしい」

「そのうちに大雪でもあると、おっくうだからな、一時でも早い方がよろしい」