Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
そこで、初霜もだまってはいない。
「それはそうかも知れません。ですけれども、それはやっぱり五年前の番附で、あれから新顔が出ないとも限りませんもの。よし出ないにしたところで、銀杏加藤の奥方様は、もうこの名古屋にはいらっしゃいません」
「おや――あの奥方は名古屋にいらっしゃらない? でも、御良人も、お屋敷も、変りはないのに、江戸への御出府や、一時の道中は、人別の数には入りませんよ」
「ええ、名古屋にもいらっしゃいません、お江戸へもおいでになっていらっしゃるのではございません」
「では、お亡くなりになったの?」
「いいえ……」
「どうしたというんでしょうねえ」
「ホホホホ、醒ヶ井様、あなたは銀杏加藤の奥方に、それほど御贔屓でいらっしゃるくせに、そのお行方さえ御存じないの……だから、五年前のことは当てにならないと申しました」
今度は、初霜が逆襲気味で、醒ヶ井の咽喉首を抑えていると、それを機会にして若いのが、
「五年前のことでは、わたしたちは一向に存じませんもの……」
「わたしは、噂にだけは聞いておりました」
「でも、名古屋にいらっしゃらないのなら、新しく別に選んでも、失礼にはなりますまいか知ら」