Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「ハッコツとは、どういう字を書きますか」
「シラホネと書くのです、白い骨という字だから、ぞっとするではありませんか」
「名は何でもかまいません。それでも、お姉様、あなたがお気が進まないならば、わたしもいやです」
「気が進まないというわけではありません、いっそ、気はハズミ過ぎているくらいですから、すすめてもみたのですが、場所が場所だけに、二の足も踏むのです」
「白骨の湯もいいでしょうけれど、わたしは正直にいえば、お姉様と、肥後の熊本へ行きたいのです」
「熊本へですか」
「ええ」
「だって、熊本には、お前の病気を療治するようなところは、ないじゃありませんか」
「でも、わたしは、尾張の国の名古屋城下で死ぬよりは、肥後の熊本で死にたいのです」
「いいえ、お前はまだ、死ぬということを言ってはなりません、それを思ってもいけないのです、ですから、熊本へはやれません」
「阿蘇の山ふところには、湯の谷だの、栃の木だの、戸下だのという温泉があると聞きました、白骨へ行く代りに、そちらへ行って済むものならば、そちらへ行きたいと思ったばかりです、深くお気にかけなさいますな」
「お前は、熊本が好きですか」