Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
肥後守清正が、一世一代のつもりで、一手で築き上げたものだというその知識が絶えず頭にあるから、そこで、ついつい、肥後の熊本が飛び出したものであろうと思われます。
事実、名古屋の天守閣が、いかに高かろうとも、そこから九州の一角まで見えようはずがあろうとも無かろうとも、それは問題にするに足りないし、道庵の頭が、かなり粗雑に出来ているところへ、米友の頭が、あまり率直に過ぎるから、この出鱈目が両々、おかしくも、悲しくもないことに結着しました。
二人の間では、問題にならなかった肥後の熊本を、聞き咎めたのが同行のお数寄屋坊主です。
「先生、もう、なんですか、あなたは、万松寺へおいでになってごらんになりましたのですか、ずいぶんお早いことですなあ」
米友は、熊本が見える、見えない、ということをちっとも問題にしなかったけれど、聞捨てにすることのできなかった土地案内のお数寄屋坊主から、まじめに受取られて、道庵が少したじろぎ、
「いや、なあに、そのちっとばかり……」
とゴマかすのを、お数寄屋坊主はなおなお親切に受取り、
「もう、あれへお越しになりましたですか、実はこれから御案内をしようと存じておりましたところで……」