Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
と、お角は一息にまくし立てましたが、なるほど、それも口前ばかりではないらしく、お角の眼が、次第次第にうるおってくるようです。お角さんという女、まさか人を喜ばすために眼を湿らして見せるなんという、しみったれた芸当をする女ではあるまいから、実際、こう言っているうちに、なんとなく、嬉しく、懐しくなって、珍しいことに涙を催してきたのかも知れません。
といって、お角ほどの女が、お銀様に向っては苦手であることはいまさら申すまでもありません。
お角さんほどの女が、このお銀様の前へ出ると何か気が引けて、先を越されて、圧迫を蒙るように息苦しい気持になることは、宇治山田の米友ほどの男が、このお角さんに向うと、どうも、すくんでしまうようなものです――だが、なるほど、恐縮の何物かを感ずる底に、また何とも言い難い一種の親愛がひそんでいるようにも見られる。
お角ほどの女が、こうしてお銀様の前で涙ぐむのも、この言い知れぬ親愛の縁がそうさせるのかも知れません。
「親方、どうも済みませんでした、あの時は、つい、あんな気になってしまったものですから、フラフラと出かけてしまいましたが、お前さんにことわらないで出たのは、わたしの卑怯ゆえだと思いました」