Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
この地上には、人間に隠されたところの秘境が、いくらもあるということを、このごろほどしみじみ感じさせられたことはありません。
多くの人は、白骨谷は人間の冬来るべきところではないと言いました。土地の主さえも、冬は逃れて里へ帰るところだと言いました。
それだのに、この美しい景色は、どうでしょう。それも、冬がようやく迫って来るほど、昼よりも宵、宵よりも、この深夜の月の澄んだ時ほど美しさが増して行く。
今は、どうでしょう、人去り、時更けて、この骨まで凍る白骨谷のつめたさ。
この美しい、つめたさを、自分ひとりだけがながめつくす特権がうれしい。冬籠りをする人だけに、この広寒宮のながめが許されるのに、お気の毒なのは、せっかく、許された特権を抛棄して眠っている人たち。
起して見せてあげたいが、そうしない方がよい。慾ばりのようだが、これだけは、わたし一人占めにして、誰にも見せないことにしておきましょう。
先日も、このことで、弁信さんへの手紙を書いたことでした。
その手紙の中に、白骨谷の深夜の景色に拙い描写を試みた後、こんなことを書き伝えた覚えがあります、
「弁信さん――