Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「ちぇッ――東西南北がわからねえ」
こう言って天下の大道に立ったものです。と見ると、左の方に石柱が一本立っている。そうだ、多分あれに、何のなにがし、何里何町と刻んである、ひとつ見てやれ――
石の柱へちかよって見ると、それは道標でも、里程でもなく、ただ二字、石に刻んだそれが「笠寺」と読まれる。
笠寺!
こいつを入って行けば、その笠寺というのへ出るんだな。
笠寺! 聞いたような名だな。そういえばこの入口が何だかうろ覚えのあるような道だ、一度は通ったことのあるような気がするぞ。
行ってみろ――
ははあ、そうだそうだ、その昔、故郷を出奔し、ひとり東海道の道を下って行った時、ここへ入り込んで、この寺の軒の下を一晩お借り申したことがあったっけ。その翌朝、親切な寺番に見つけられ、叱られもせずに、温かい御飯と、温かい味噌汁とを振舞われたことがあったっけ。
その覚えのある道だ。
そうだ。だが、今、ようやくその寺の名を思い出すくらいだから、土地の名もさっぱり記憶はしていないが、やっぱり、熱田の宮から程遠からぬところであったとは、うろ覚えに覚えている。
とにもかくにも、昔なつかしいあのお寺の門前まで行って見てのことだ。