Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「そんなら一緒に行って下さい、そうして都合によれば、わたしの宿へ今晩はお泊りなさいな」
「どうしようかなあ」
「一緒においでなさい、ね、千鳥塚はずいぶん淋しいところだと思うから、わたし一人で行くよりは、連れがあった方がいい」
「じゃあ、行ってみるとしようかな」
「そうなさいよ」
「うむ」
米友は、脆くもこの女の誘惑にひっかかってしまいました。
常の米友ならば、一たまりもなく拒絶して、自分は名古屋に残して置いた主人のための責任感に向って一直線に動くはずであったのに、今日は存外歯ざわりが柔らかい。
かくて二人は相前後して、路を裏に取り、教えられた通り、天王山の千鳥塚をさして行くべく、田疇の間の並木の中に身を隠してしまいました。
五十四
かくて二人が千鳥塚に着いた時分には、夕暮の色が、いよいよ濃くなっておりました。
ここへ登って見ると、はじめて海が見える。この女の人が、絶えずあこがれているらしい海が、遥かに布を張ったようにほの白く見えました。
「ごらんなさい、ここへ来てはじめて、昔の鳴海潟の趣がわかりました。昔の歌によまれた時分は、海がもっと近かったのでしょう、だんだん、時代がたつにつれて、海が陸になり、陸が田になったのに違いありません。