Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

哀れなりなにと鳴海の果てなれば……という歌もあの笠寺の額に書いてありました。いかに鳴海の潮干潟、傾く月に道見えて……と太平記にもありますね。ほんとうに高貴な地位にいた人が、囚われの身になって、今日か明日かの命の瀬戸に、この海辺の旅路を通る心持――それが思いやられずにはおられません」

「うむ……」

「兄さん、お前さん、旅をして歩いて、悲しいと思ったことはない?」

「あるよ、それはあるよ」

「悲しいと思った次に、ツマらないと考えたことはない?」

「そんなことも、あるにはあるようだ」

「ツマらないと思った次に、死んでしまいたいと思ったことはない?」

「さあ――おいらにゃあ、死んでるのか、生きてるのか、わからねえことがあるよ」

「そうですね、わたしたちだって、ほんとうに生きているのがいいのか、死んだ方がいいのかわからないことが、不断にありますよ」

「人は死んでも、魂というものが生きてるからなあ」

ここで米友は、道庵ゆずりの霊魂不滅説を持ち出したのはまじめです。

女の人は、それには答えずに、さきへ立って無言に、塚の細道を下りにかかりました。

米友もまた、憮然としてそれに従う。