Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「そうですね、年々、梅の樹が減ってしまうようですね」
「名物がなくなってしまうのだ」
「惜しいことでございますね」
「惜しいことだ。すべてな、与八、物がその土地の名物とまでなるには、その土地に備わる天分というものがあって、最初にその種を蒔いた人は、よくその天分と、地味とを見分け、その後、代々容易ならん苦心が積み重なって、ようやく名物となるのだ。それを孫子に至ると、すっかり忘れてしまって、一時の目先だけで新しいものと取替える、それがやがて取返しのつかぬことになる」
「そうでござんすかなあ」
「そうさ、わしはお百姓でないから、地味のことはよくわからんがの、この土地は陽を受けているから桃がよく育つ、川向うは陰だから、それで梅の質に合っている、それを見込んで昔の人は、土地にかなうような苗を植えつけたものだ。これから少し西へ出ると柚がいいな。この土地は、山間の石のある地味が、柚というものにかなっているらしい。これから二三里下ると、柿にいいところがある。だから、よく地味に相当するものを植えつけておくと、知らず識らず、それが名物というものになって、他の土地では見られない風味というものが出来てくるのだ。