Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
仔牛を送って、柱木の牧場まで来た清澄の茂太郎、
「番兵さん、チュガ公を連れて来たぜ」
「チュガ公を……そういうお前は、芳浜の茂坊じゃねえか」
牧場は、軍隊組織になっているわけではないが、この番人は、陸軍の古服でも払い下げたものか、いつも古い軍服を着ているものだから、茂太郎は、番兵さんの名を以て呼んで、その本名を知らない。
その番兵さんは、チュガ公の帰来を喜ぶよりは、茂太郎の現出に少なからぬ驚異を感じているもののようです。
「番兵さん、チュガ公もずいぶん大きくなったものだねえ、まるで見違えてしまったよ、それでも直ぐわかったよ」
「茂坊、お前もずいぶん珍しいことじゃないか、今までどこに何をしていたえ」
「三年目だねえ」
「そうだなあ、三年目だなあ」
「三年前の夜這星が出る晩だったよ、チュガ公の生れたのは」
といって、茂太郎は牛小屋の中を、まぶしそうに見入ります。
三年前の夜這星の出る晩というのは、何日のことだか、その夜這星とは、何の星のことだかわからない。茂太郎独特の暦法によるのだから、明白な時間と、位置はわからないが、この牛の誕生のその時に、まさに清澄の茂太郎がここに立会っていたことは事実らしい。