Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme

Aozora Bunko

ずいぶん、お腹がすいていたものと見える。

おまんまを食べているうちにも、主人が不在とはいえ、この家の森閑たることよ。

金椎は庖厨を司っているが、それはいてもいなくても、物の音からは超越している。

お嬢さん――まだ自分のお部屋で寝ているのか知ら。金椎さんの驚かないのは仕方がないが、お嬢さんは、いるんならば、わたしが帰って来たのを気がつきそうなもの。多分、朝寝をしているんだろう。殿様も、田山先生もいないものだから、全く気兼ねをする心配がとれたので、それで思いきり朝寝をしていらっしゃるのだろう。

おまんまを食べてしまうと、茂太郎は兵部の娘の部屋、つまり自分たちと同居の部屋を訪れて、

「お嬢さん」

こう呼びかけて戸を叩いてみたけれど、返事がありません。

「お嬢さん」

ふたたび呼んで、戸を開いて見たが、その人がおりません。

「おや?」

せっかく、雨を冒して帰って来たのは、鯨の親に呼ばれたのみではない、早く家へ帰って見たいからだ。一つは、お嬢さんに心配させまいとの心づくしだ。それだのに、相手はいっこう張合いがなく、こっちがあせって来るほど、待ちこがれもなにもしやしない。