Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
と叫んだその聞きそこねか、そうでなければ、早まった人たちの間違いだろうと、一目でそうわかりました。眼の前に、一艘の大きな黒船が来ている。
眼の前といっても、それは海上かなりの遠くではあるが、ここからは眼と鼻の先、浦賀海峡の真中に、三本マストの堂々たる黒船が、黒煙を吐いたままで錨を卸している。それを見て最初叫んだものが、「黒船、黒船!」と言ったのを、寝耳に水のように聞いた漁夫たちが、「鯨だ、鯨だ!」と間違えたのだろう。
黒船と聞いて、人心が動揺しないわけにはゆきません――鯨ならば、七浦をうるおすということもあるが、黒船では、当時の日本国を震愕させるだけの価値はある。
尤も、この辺の地点では、黒船を見ることにかなり慣らされてはいるが、それでも、いま、眼の前に現われたほどの黒船は、あまり見なかった黒船であります。
木造、螺旋式、三本檣、フリゲット――長さは無慮二百四五十尺、幅は三十尺以上四十尺の間、排水は、玄人の目で見て三千トンは動かぬところ――
それが悠々として浦賀海峡の真中、江戸の湾口に横たわっているのですから、船を見るに慣れた浦人の眼をも、驚かさないわけにはゆきません。