Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「なるほど」
兵馬が、またも考え込んだ時、
「さあ、火がおこりました」
久助が火をハサんだので、お雪がまだ以前のところに立っているのを知りました。
十三
お雪ちゃんのこのごろの仕事は、社会奉仕といえば一つの社会奉仕でしょう。
ほかに女手の一つもない大きな宿屋の中のことですから、男で気のつかないことは、何でも自分の手でしてやらねばならぬという責任でもあるかのように、何かと気を配らずにはおられません。
そこで、自分の炬燵に火のない時は、他の部屋のそれも同じように心配して、冬籠りの空気を、いくらかでも暖かいものにしてやりたいというような心づくしは、持って生れたこの人の親切気ですから、どうすることもできません。
今も、十能の中に、かんかんとおこった炭火をたくさんに盛って、それを後生大事に抱えながら、二階の梯子を上りにかかりました。そうして二階のいちばん手近いところの部屋、つまり宇津木兵馬の座敷のところへ来て、ちょっとしなをして、様子を見た上で、誰もいないと知りつつ中へ入って行きました。
今では、誰もいないどの座敷へも、相当の遠慮無しに出入りすることが、自分の特権のようにもなっていると思います。