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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

ず、意外なのは、それが女の声で、しかも存外しっかりして、地に着いているのはその足許だけではありません。その声だけで判断しても、しっかりしてはいるけれども女の声には相違ないが、決してお雪ちゃんやお銀様のような音調や色合の声ではありません。むしろ良妻とか、賢母とかいうべき性質の、しっかりした調子で、「どなたかそれにおいでなされますな」と言葉をかけたのですが、こちらは無言でした。こちらからすべきはずの予備認識を以て隣人の義務を果さないのみならず、先方からの挨拶にも答えないというのは非礼を極めている、というよりは、害心をいだいていると判断してもさしつかえないでしょう。ところが賢母としての今の女の人の後ろに、清くして力のある子供の声が続いて起りました。

「お母さん、誰かいるの」

「ああ、それにどなたかおいでになります」

そこでいったん踏み止まって多少の躊躇をしたけれども、それが済むと、この母と子は合点をして、その無言で突立った黒い姿の前をずんずんと通り抜けにかかりました。

何でもないことのようですが、それはかなり大胆不敵な挙動と言わなければなりません。

繰返して言えば、自分たちは礼儀をもって一応挨拶を試みたのに、先方は、その挨拶を返さないのみか、道路の真中よりは少し後ろへ寄っているにはいるらしいが、この場合、真中に立ちはだかっ