Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「では、何のために立身出世をさせるのですか」
「ホ、ホ、ホ、ホ」
と、竜之助から問いつめられた賢母の人は、愛想笑いをして、
「そういうむずかしいことをお尋ねになっては困ります、今のわたくしは、ただ子供に立身出世をさせたい一心だけでございまして、立身すればするように、苦労が増すものか、減るものか、そのことなんぞは実は考えていないのでございます。それはそうと、もうかなり時がうつりました、それではそろそろ長浜へ向って出かけることと致しましょう」
と言って、木の枝に程よく吊した提灯を取下ろすべく、賢母が腰を上げて手をのばしました。
賢母が提灯を手にとろうとすると、その後ろで不意に、
「ホ、ホ、ホ、ホ」
と笑う声がしました。
三人が言い合わせたようにそちらをみやると、水門の水口のところに、腰打ちかけてこちらを向いている一人の白い姿があるのです。
最初は絵に見る関寺小町とか、卒塔婆小町とかいうものではないかと怪しまれたほど、その形がよく画面に見えるそれと似通っておりました。
無論、女です。白い着物の裾を長く曳いて、白い帯に、白い頭巾で、目ばかりを出して、不意に「ホ、ホ、ホ、ホ」