Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
ものは、わたくしたちの運命は、御承知の通り哀れなものでございました」
と言って、美人はここで声を曇らせて、面を伏せたようでしたが、また向き直って、
仏も昔は凡夫なり
われらも後には仏なり
いづれも仏性具せる身を
隔つるのみこそ悲しけれ
それは悲しい調子に歌い出されて来ましたが、また急に晴々しい言葉になって、
「愚痴を申し上げて相済みません、栄枯盛衰は世の常でございますから、欺いたとて詮のないことでございました、仏御前に寵愛を奪われましてから後の、わたくしたちの運命というものは、御承知の通りでございまして、すべての世界も、人情も、みんな一変してしまいましたが、ただ一つ変らぬものとして、ごらん下さいませ、この井堰の水の色を……」
と言って、美人は後ろを顧みて漫々たる池水を指し、
「わたくしたちのあらゆる栄耀栄華のうちに、ただ一つ、これだけが残りました」
と言って、美人は相変らず水門に腰をかけた卒塔婆小町のような姿勢で、うしろの池水を指さしながら、
「この池と、この井堰と、この用水とは、わたくしが六波羅時代に掘られたものでございます、それは、わたくしの生れ故郷の人たちが、水に不足して歎くところから、わたくしが費用を出して、この池と、塘と、堀とを、すっかりこしらえさせてやりました。