Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
と米友は、二たび三たび抱き上げたお雪ちゃんを烈しくゆすぶりました。
この際、米友としては、ゆすぶってみるよりほかの芸当はなかったのでしょう。事が全く不意に出でたものですから、本人をゆすぶって、本人に事の仔細をたしかめてみるよりほかには詮方がない。その本人にたしかめてみる以前に、本人の正気を回復さしてかからなければならない。
「お雪ちゃーん、お雪さん、しっかりしろやい」
この烈しい米友のゆすぶりに対して、お雪ちゃんの挨拶としては何もなく、少し間を置いて、そうして恐ろしい唸りの声ばかりで、今度はその唸り声さえ漸く低く勢いを失ってきて、その身体までがみるみる弾力を欠いて、そうしてぐったり米友の身体の上に崩れかかるようなものです。
およそ米友としては、若い娘のこういった態度を、今までにこれで二度まで見せつけられました。その一つは、申すまでもなく、本所の相生町の老女の家で行われた幼な馴染との間の生別死別の悲劇がそれでありました。
あの時は、天地が目の前ででんぐり返ったと同様で、何が何だかわからなくなってしまったが、でも、死ぬ人は充分覚悟の前であり、そうして枕許にはお松さんという日本一頼みになる人がついていて、一から十まで行届いた臨終ぶりというべきものでありました。