Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
ですが、やはり打捨てては置けない。それ故に、米友がまた忙がしく取って返し、
「ちぇッ! あっちもこっちも世話が焼ききれねえ」
米友が、その灰神楽を鎮静せしめた途端に、目に触れたのは、ついそこに太平楽で大いびきをかいている道庵先生の寝像でありました。道庵の寝像を見ることは今にはじまったことではないが、この場合、これを見ると、米友がまたグッと一種の癇癪にさわらざるを得ません。
人がこうしてまあ一生懸命に――全く生きるか死ぬかで奔走している一方には、灰神楽がチンプンカンプンをはじめるという非常時に、この後生楽は何たることだ、酔興でこしらえた創だらけの面に、大口をあいていい心持で寝こんでいる。人間、どうしたらこうも呑気に、じだらくに生きられるものか、おいらなんぞはそれからそれと夜も眠れねえで、身体が二つあっても、三つあっても、足りねえ世の中に、この先生ときては、この後生楽だ。
「畜生! どうするか見やあがれ!」
というような気にもなってみたが、そうかといって、どうすることもできない。天性、後生楽に生れて来た奴は仕合せだ、人の心配する間をぐうぐう寝ていられる、こんな奴が長生きするのだ。