Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
それは、今も言った弁信が、杖を立てて踏み止まったところから、ある僅少の距離を隔てて、荒草の間に蟠踞していたところの巨大なる切石のはざまにうずくまって、丸くなって寝ていたところの一つの動物があったのですが、それはちょうど、弁信の立っているあたりの地点の背面からは見えないのみならず、前へ廻って見たところで、丈なす荒草と、切石というよりも巌と巌との間と言った方がふさわしいほどの、岩角のはざまにはさまって眠っているのですから、わざわざ探さない限り認められようはずがありません。且つまたこの動物は、この絶対の避難地とも安全地帯とも言える穴蔵の中で、いとも快き眠りを貪っているものですから、寝息とても非常に穏かなもので、昼寝の熟睡に落ちているのですが、弁信の第六感に逢ってはかないませんでした。
「モシ――お仕事中をおさまたげして相すみませんが、少々物を承りたいのでございますが」
二度まで繰返して、それから、とんと一つ杖をつき返してみました。その杖の音にはじめてこちらの動物が夢を驚かされたのでしょう、むっくりはね起きて、
「なに、なに、何だって、誰か何か言ったのかい」