Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
二人の子供がありとはいえ、まだ水々しい年増の主人のお内儀さんから、こう持ちかけられると、若い番頭の胸は躍らないわけにはゆきません。何か知らん甘い、そうして空怖ろしい戦慄が全身に起りました。
「お内儀さん、御安心なさいませ、わたしが附いて行く限り、決して旦那様を悪い方へお導くようなことは致しません、それに旦那様も、全く旅でお固いのですから、どう間違ってもお内儀さんの御心配になるような事態が引起されるはずはないのでございます、それは、わたくしが固く保証を致しますから、御安心下さいませ」
「だが、お前、人の心というものは、いつどう変るかわかったものではありません、固いといった人が道楽を覚えると、かえって遊びをした人よりも深くはまり込むこともあるのです――そうでなくても、もし旦那様が旅で御病気になるとか、盗賊追剥にでも害されるようなことがあったとしてみると、それからのわたしは、どうしましょう」
「それはお内儀さんの思い過ごしでございます、旦那様に限っては、旅先で悪所通いをなすったり、よからぬ女にはまり込んだりなさるような心配は決してございませんし、わたしがお附き申していて、決してそんなことはおさせ申しませんが、万一、旅先で御病気になるとか、盗人追剥などのために、まあ、御災難を思いやっていては際限がございませんけれど