Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「御遠慮なくお使い下さいませ、まかり間違えば、わたくしが腹を切ります」
「そうか、では、そいつを貸してもらうかな。ところで……」
この相当の身分ある士は、七万両を咽喉へつかえもせずに、もう腹の中へ飲み込んで納めてしまったような度胸が、神尾は羨ましくもあり、いよいよ憎いとも思いました。
おれは今まで金を欲しがっていた。相当、金を使った覚えもないではないし、身のつまる時はずいぶん無理をして金工面をし、ひそかにその腕を誇ったこともないではなかったが、こうして相手から無条件、無雑作に七万両の金の使用方を提供されながら、別段に有難い面もせずに腹へ落してしまう奴が面憎い。今のおれの目の前に七万両はおろか、七千両でも、七百両でも、七十両でも、無条件に投げ出す奴があったら、おれは恥かしながら眼の色を変えるかも知れない。然るにこいつは、七万両をおうように飲み落して、腹がくちいような面もしやがらない。憎い奴共が、憎い話しぶりだと、思わず聞き耳を立てるような気でいるところ、また例の白い上衣をつけた給仕が、何かホヤホヤと烟の立つ肉類を皿に載せて持って来て目の前に置きました。