Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

与次郎は、

「けんど殿様、あんないの大猿は、とてもわしにも撃てるかどうだかわからん」

と言って辞退したが、たってのお望みとあって是非もなく、

「そんじゃア」

と言って引きうけて帰った。

そして鉄砲を磨き、弾丸をしらべ、幾日もの食い物をむすびにして腰につるし、

「もし撃ち取れねえば、生きちゃ帰るまい」

と覚悟し、氏神様へお参りをして、ある日、朝早くから山へ登って行った。

そして幾日も幾日もの間、とてもごっちょう(苦労)して、山という山は残るところなく、ほかの鳥獣には目もくれず、ただ手白猿ばっか探し廻ったが、その行方はかいもくわからなかった。これまで、ほかの鳥獣なら、これと狙った以上は必ず取りぞくないのない与次郎も、手白猿ばかりはまるで手はつかなんだ。

「いよいよ今日中にめっからねえば、その時こそは死ぐばっかだ」

と考えながら行く。お天道様の具合で、ちょうど昼時となったので、与次郎は谷間に湧く清水の岩角に腰を下ろして昼食を始めたけんど、がっかりしている今は食べ物も咽喉を通らない。

「はい、これからは持っていたところで仕方もなし、残りのむすびもこの辺へうちゃアらず(捨てよう)」