Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
のあるはずはないのだから、やはり、言われた通りに従順に受け、頼まれた通りに頼まれるのが一番だと、与八の頭にうつりました。それに、突然とは言いながら、持余し者ではあるが一粒種のお嬢様というものが、あちらへ出かけていらっしゃるのだから、親としてそれをみとりがてら、旅をなさろうというのは、お奨め申せばとて拒む理由はない、と信じたからであります。
与八の快き承諾ぶりで、伊太夫は最も安心して本家へ引きとると共に、内密に、迅速に、旅の用意をととのえてしまいました。今の伊太夫の家では、この旅を、無用なり、危険なりとして諫諍するほどのものはありません。よし、あったとしたところで、与八と同様の考えで、むしろお奨め申せばとて拒む理由はないのですから、ただこの上は、主人が旅に出かけるということを誰にも知らせないように、旅の用意を整えるだけのものでありました。
お銀様のために、その要求した五万両の金を、どうして、どのように送るかということの宰領は、一に老番頭の考慮のうちにあるのですから、伊太夫はかまいません。自分は、ちょっとした村の名主が、小前二三人をつれて伊勢詣りにでも出かけるくらいのいでたちで、屋敷のうちの者を選んでともとして、その翌々日、この屋敷を立ち出でたのです。