Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
心意気を聞いてみりゃあ、なおさら憎くもござんすめえ」
とがんりきに脂下られ、お蘭どの、眼尻が上ったり下ったりして、
「あの時の悪者はお前さんだったのかえ――それとは知らなかったよ」
「悪者じゃございませんよ、この通り、がんりきの百といって、ちっとは鳴らしたいい男の兄さんでげすよ」
「いやな奴」
「いやな奴で、大きにお気の毒さま。でもまあ、口でけなして、心のうちでは、こっちの親切がちゃんとわかっていただいてるんだから、悪くねえのさ。ところで、このケチな野郎がどのくらいお前さんに実意を持っていたかという証拠を、もう一つここで生のままごらんに入れる段取りになるべきなんだが、風をくらって、つい、そいつを一つ取落したのが不覚の至り。というのはお蘭さん、お前さんも迂闊ですねえ、これほどの御念の入った道行をなさろうてえのに、命から二番目の路用を忘れておいでなさるなんぞは取らねえ。お手元金をね、ふだんあれほど御用心なすって、枕もとのお手文庫へ、いざという時お手がかかるように備え置きの金子ざっと三百両、あれをいったいどうなすったんですね」
「それなんですよ、それを今、歯噛みをしながら口惜しがってるんですが、もう追っつかない、当座のお小遣だけは何とか工面して来たけれども、これから先を考えると心配でたまらないのよ」