Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

お銀様は、風景の次に、伝説を以て、お雪ちゃんの想像心に訴えて、これが遊意をそそろうとしたが、それでもお雪ちゃんの気の進まないのをもどかしがって、

「おいやですか」

「いやではありませんけれども……」

「あの大風の中を、弁信さんでさえ登って行ったではありませんか、それを意気地のない、お雪さん、あなたは越後の白馬ヶ岳や、杓子岳までも登ったではありませんか、好きな人と一緒ならば、畜生谷を越えて、加賀の白山までも登りかねないあなたではありませんか、わたしと一緒ではおいやなのですか」

「そういうわけではありませんが」

「そういうわけでなければ、わたしと一緒に行って下さってもいいでしょう、あなたはお山に慣れていらっしゃるけれども、わたしはそうはゆきません」

「いいえ、わたしだって……」

「あんなことを言っている、白馬ヶ岳から高山の花を摘んだり、雪の渓を越えたりして、越中の剣岳や、あの盛んな堂々めぐりを、いい気になってながめて来たくせに」

「それはそうかも知れませんが」

「さあ、早くなさい、風もすっかりやみましたよ」

「それではおともをいたしましょう」

「わたしと同じことに、ここにこうして白い行衣も、白い手甲脚絆も、金剛杖も、あなたの分をすっかり取揃えて持って来ましたから、これをお召しなさい」