Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「え!」
「今日はそれを、あなたに見せて上げたい、いや、それで、あなたを迷わせて上げたいと思って連れて来たのです。大蛇がいるのですよ、現在このお山に。その昔、日本武尊の御命をちぢめ奉った大蛇のことを、あなたも本を読むことがお好きだから、歴史でよく御存じのはずです、山神化して大蛇となり道に当る、日本武尊、蛇を跨いでなお行く、時に山神、雲を起し氷を降らし、とあります。それは太古の歴史ですけれども、わたしも現在、この山におろちを一つ封じ込んで置くのです、それをあなたに見せて上げましょう」
「もう、たくさんでございます、御免下さい」
「ホ、ホ、ホ、まだ大蛇が出て来はしません。出て参っても、あなたを呑もうともしません、呑ませもしませんから御安心なさい。さあ、もう少し登りましょう、まだ、なかなか夜は明けません」
こう言ってお銀様は、またも雲霧の中に突き進んでしまうと、以前の如く、玲々として爽やかな鈴の音が聞えはじめました。
十
暫くして、一つの巨大なる石門のところに来ました。
「これが、さっきの話の、胆吹の弥三郎の千人窟ですよ」
見上げるばかりの石柱が二つ、夫婦岩のような形に聳えていて、その間が船形のうつろになっているその間へ、お銀様がお雪ちゃんを引摺り込みました。