Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
湖面も、湖を立てこめた数千丈の断崖も、前に言った通りの蛍のように蒼白の色に覆われていたのが、今、不意にざんぶと音がして、その水煙から輪になって行く波紋のすべて鮮紅色になってゆく現象を、さすがお銀様が怪しまずにはおられません。
「あれは、どうしたのです」
意地悪いお雪ちゃんいじめを抛擲して、そうして疑問をかけたのを、竜之助がうなずいて、
「あれだ、ああして毎日、いいかげんの時に、人が飛び込むのだ」
「飛び込んでどうするのです」
「どうするって、つまり身投げだよ。見ていると、一刻の間に十も二十も飛びこむことがある、そら見な、あの通り真紅になっている中に、真白いものがふわりと浮いているだろう、女の臀だ」
「え?」
「女は水に落ちて死ぬと、死体は上向きになり、男は下向きになるということだが、ここで見るとそうばかりではない、真白い女の臀っぺたが、搗き立てのお餅のように、幾つも幾つも浮いているところは見られたものじゃない」
「業さらしです、女の風上には置けない」
「人間というやつは全くわからないやつだ、刀を抜いて見せたりなんぞすると、慄え上って助けを呼ぶくせに、死にたいとなると、勇敢にああして後から後からと、この血の池の中に飛び込んでしまう」