Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「えらく御執心じゃな」

「別に執心という次第でもござらぬが、飛騨の山々や、加賀の白山、白水谷には、これでなかなか隠れたる美人が多いとのこと。伝え聞く、悪源太義平の寵愛を受けた八重菊、八重牡丹の姉妹は、都にも稀れなる尤物であったそうな。また伝え聞く南朝の勇士、畑六郎左衛門時能も、この地の木地師の娘に迷うて、紅涙綿々の恨みをとどめたそうな。すべて山中の女は、声清らかにして肌が餅の如く、色が雪のように白いと申すことじゃ。不幸にして我々、未だその隠れたる山里の美人に見参せぬによって……」

「は、は、は、故実まで研究しての上の御執心ではかなわぬ、いずれそのうち海路の日和というものもござろう、気永く待つことじゃ」

「どれ、この辺で一休み」

それは、今まで兵馬と福松とが休んでいたところとほぼ同じ地点。

「それにいたしても、なんとなく……人臭いぞ……」

「人臭い?」

二人はお伽噺にある小鬼かなんぞのように、鼻をひこつかせて、そのあたり近所をながめているうちに、

「や! ここに――」

「そうら見ろ」

丸山勇仙がまず杖の先にひっかけて手に取り上げたのは、色友禅の胴巻でありました。