Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

近づいた右の豪傑は、竜之助を見て莞爾として笑ったかと思うと、竜之助の腕をとって、親しみの態度を現わしました。竜之助も手をさしのべてさわってみたが、その手は荒いけれども、そのさわりは極めてつめたい。

「いやに冷たい手をしているな」

「は、は、は」

「どこへ行っての帰りだ、そうしてこれからどこへ行こうというのだ」

「美濃の関ヶ原から来たんだが、これからまた京都へ行くのだ、京都はどこという当てもないが、せっかく君と同行のことだ、君の行くところへ僕も行こうではないか」

田中新兵衛は極めて親しみを以て、こう言いました。思えば自分も一人旅、逢坂山の関の清水を立ち出でて、足はこうして京洛の地に向いているけれども、さて、今度の都入り、誰を当てに、ドコへ落ちつこうという目的があるではないのだ。田中新兵衛から、こう持ちかけられてみると、竜之助はいまさら自分の行手を思案する気にもなる。

「拙者は島原へ行こうと思っているのだ」

「島原――結構」

と田中新兵衛が言下に応じました。竜之助が島原と言ったのは出まかせである。最初からそこへ目的を置いたわけではなし、そこになんらの知己ある人がいるわけではないが、今の先、島原へと誘引した白い手首があった、そのことが眼先にちらついていたものだから、つい口頭に現われたものだが、この際は自分ながらよく言ったと