Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
自分も早く学者になって置けばよかった、学問をして置けば、新井君美ぐらいにはなれたろう、戯作をやらせれば馬琴はトニカク、柳亭ぐらいはやれる筆を持っていたのを、今まで自覚していなかった、我ながら惜しいものだ。時に……」
神尾主膳は、筆を筆架に置いて、投げ出すように、悪食家に向って言いました。
「徳川の天下も、いよいよ駄目だそうだな」
「は、は、は、おかしくもない、今ごろそんなたわごとを言い出すのは、君ぐらいなものだろう」
「徳川の天下が亡びた時は、日本の政治はどうなるのだ」
「そんなことはわからん、そういうことは永井玄蕃のところへでも行って聞き給え」
「まあ、君たちの見るところを正直に話して見給え」
「十目の見るところ――言わぬが花だなあ、力めば時勢を知らないと言われるし、くさせば主家を誹るに似たり」
「いよいよ駄目かい」
「匙を投げるのはまだ早かろう」
「いや、実はおれも、徳川の禄を食んで三百年来の家に生れた身であってみると、それを対岸の火事のようには見ていられない、今日まで自分本位で生きて来たが、とにかく、一朝主家興亡の秋ということになってみると、別に考えなけりゃならん」