Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

如法暗夜ではない、如法朧夜といったような東海道の上り口を「山科光仙林」の提灯が、ゆったりゆったりと渡って行く。

逢坂、長良を後ろにして、宇治、東山を前にした山科谷。しばらくすると米友が、はったと足の歩みをとどめて、

「やあ、何か唄が聞えるぞ」

と、耳朶の後ろから手笠をもって引立てて見ました。

「そうですね」

米友の耳に入るほどの音声で、その以前に弁信が聞きとめていないはずはありません。

「盆踊りかね」

「今はその季節ではありませんね」

「念仏講かな」

「そうでもないようです」

「祇園囃子てやつかな」

「そうでもありません」

「鳴り物が入ってるな」

「はい」

「やあ、突拍子もねえ、高い声で歌い出しやがった――聞き取れるよ、文句が聞き取れるよ、じっとしていてみな、おいらの耳でも立派に、歌の文句が聞き取れるよ」

米友は、そこに暫く立ち尽して、耳朶に手をあてがったまま、心耳を澄まそうとしました。弁信も否み兼ねて、同じように立ちどまって、米友が歌の文句を耳にしかと聞き納めるのを待っている。

ややしばし、佇立して心耳を澄ました米友が、釈然として次の如く、高らかにその歌詞と音調とを学びました。