Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

「いずれ、急がぬ身でございますから」

「では、拙者に於てはこれにて御免――」

不破の関守氏は弁信を置きっぱなしにして、自身のわび住居へ帰ってしまいました。

お銀様の経机に向った周囲を見ますと、幾つかの封じ文が、右と左に置かれてある。机の上にも堆いほどの手紙が載せてある。察するところ、この手紙類を右から取っては左へ読みついで、ひたすらそれに読み耽っていたところらしい。弁信が来たものですから、手紙の方はそのままにして置いて、お茶の立前にかかりました。

お銀様のお手前は本格であります。珍しくも手ずからお茶を立てて、弁信法師をもてなそうとするのであります。

「一つ、召上れ」

ふくさに載せて、わざわざ弁信の前に置かれたものですから、この法師もいたく恐縮しました。

差出された茶碗を見ると、これも光悦うつし、いや、うつしではない、光悦そのものの肉身の手にかけて焼き上げたもの――むやみに、うつしうつしと口癖になってしまってはお里が知れる。

「これはこれは、痛み入った御接待にあずかりまして」

例によって物堅い弁信法師の辞儀、お手前ともお見事とも言わないで、御接待と言いました。