Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
持てる者がみな狼狽焦心する時に、乞食種族だけは、悠々自適の生活を転移する必要を認めない現状維持派であります。今、日本の天下は、王政の古えにかえるか、徳川の幕府につながるかという瀬戸際に於て、王城の地はその鼎沸の中心に置かれても、乞食となってみると、一向その冷熱には感覚がないのです。かくてこの無感覚種族は、いかなる乱世にも存在の余地を保留していると見えて、今の京都の天地にも、相応に棲息し、横行倒行している。今晩も、ここで、物騒な京都の夜を、平々かんかんとして川渡りを試みらるる自由は、またこのやからの有する特権でなければならぬ。住所なきところが即ち住所である。河西の水草に見切りをつけたから、明日は河東の水草に稼ごうとして、その勤務先の異動を企てているまでです。前の方は少し背が高い。前の背の高いののわかるのは、後ろのが、それよりやや劣るからである。といっても、前後の比例が桁外れなること、道庵先生と米友公の如きではなく、先なるは人並よりやや優れた体格であって、後ろのは世間並みという程度のものだ。
しばらくその菰かぶりの川渡りを遠目にながめていた轟の源松は、自然提灯に火を入れる手の方がお留守になる。