Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
当座の口実に、新撰組や御陵士頭の名を仮りてみるだけのもので、最後に突きつめたお宿許の名乗りに、高台寺月心院の名を指したが、それとても、果して月心院で受けつけられるかどうかわかったものではない。とにかく、島原の行動と言い、その後の応対と言い、捉まえどころが有るようで全くない。これまた近ごろの珍しい獲物だと、源松はほほ笑みながら、近いうちに手の内を見せてやると、いささかの得意で橋の上を見上げると、どうでしょう、命じて置いた通りの地点、欄干を背にしたところに、たしかに待っている。よもやと眼を拭って見直したが、間違いがない。
やあ、やっぱり、世界には馬鹿正直な奴がある。源松を源松とちゃんと心得ているはずなのに、馬鹿な面をして、ああしておれの帰るのを待っている。呆れたものだと、源松も口をあいてしまいました。
だが、待てよ、一概に馬鹿正直扱いもできますまい。真実あれは眼が見えないのだから、意地と場合で島原をひとり抜けをして出て来たが、出てみれば、西も東も動きの取れない身なのだ。そこへ、おれがぶっつかったものだから、しらをきって挨拶をしながらも、実はおれを頼りにして、引廻されるふりをして引廻すつもりで来たのかも知れない。