Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
それを忌々しがりながら、竜之助は、ついにこの座敷を出てしまいました。外は生粋の夜です。しかも、京都の天地の絹ごしの夜ではあるが、その横も、縦も、一匹の悪魔の跳梁には差しつかえのない闇の空間が与えられている――
ただし、王城の夜は、甲州一国の城下の夜とは違い、ここには天下選抜きの壮士が、挙って寝刃を合わせているから、この男一人が出動したからとて、城下の人心の警戒と恐慌は、あえて増しもしないし、減じもしない。当時、ここで、三つや四つの人間の首が街頭にころがっていたからとて、それだけで人心を聳動するには、人心そのものにもはや毛が生えている。人心をおびやかさんがための出動ならよした方がよい。さしせまった血なまぐさい聳動にはたいていの京人はもう食傷している。
第一、御当人の身が危ない。辻斬というものは、人の気の絶えた辻に行ってこそ多少の凄味もあるというものだが、合戦の場へ辻斬に出たからとて、幕違いの嘲笑を受けて、結局、自分の身を木乃伊にするが落ちだ。
さればこそ、この当人は、当座の食物をあさるべく、壬生や、三条、四条方面の本場へ行かないで、むやみに場末に向って、ふらふらと歩いて行くように見える。