Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
知れない、立戻って篤と見直しと致しましょう」
こんなことを返事してみました。
四十二
「いや、元はと申しますとたあいもないことでござりまするが、起りは斯様な訳合でござりましてな……」
竜之助が現象は見たが、事実は知らない人だということに気がついて、堂守の尼さんが、次のような一条の物語を語って聞かせてくれました――
天竜寺に、若い一人の美僧があって、それが門番の美しい娘と出来合ってしまった。二人は上りつめて、切羽つまった末に、とうとう駈落と覚悟をきめて、ある夜、しめし合わせ、手に手をとって駈落を決行したが、その時、若い美僧は、重々悪いこととは知りながら、師の坊の手許から若干金を盗み出し、それを後生大事に財布に入れて肌身につけたのは、世間を知らない二人が、われから世間の荒波に乗り出すからは、何を置いても通用金のこと、これさえあれば当座の活路、というだけの分別はあって、何をするにも先立つは金、という観念から、それを恋の次のいのちとして後生大事に持って逃げ出した、額は、百両とか、二百両とか、相当の大金であったとのこと。
どういう縁故であるか知らないが、この月心院まで落ちて来て、ここへ一晩かくまわれ、いよいよ明日は奈良へ向けて落ちのびの、その夜のことでありました。