Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

では、ね、宇津木さん、たった一つ、わたしの頼みを聞いて頂戴」

「何ですか」

「今晩一晩だけ、泊っていらっしゃい、ね、いくら何でも、話がきまったから、今日この場でお別れなんて、考えるにも考えられやしないわ、別れたあとのわたしは、血を吐いて死ぬばかりなんでしょう、ですから、わたしに、あきらめの時間を与えて下さいな、長いことは申しません、たった一晩だけ、お立ちを明日に延ばして下さい、ただ、それだけのお頼みよ、そのくらいは聞いて下さるでしょうね、それをお聞き下さらなければ、わたしにも、わたしとしての了簡があってよ」

「ふーむ」

と、ここに至って兵馬は、最初の如く、決然として進退を宣告する言葉が出ませんでした。

その躊躇した瞬間を見て取った福松は、ようやくこっちのものという気分を取り返しでもしたかのように、

「ね、それは聞いて下さるわね、今晩一晩だけ、ゆっくり話し合って、尽きぬ別れというのを、惜しみ惜しまれた上で、これでおたがいに、もう愚痴もこぼさず、未練を言わず、綺麗に別れましょうよ。別れてしまえばあとのことはわかりません、今晩一晩が一生の御縁のあるところよ。ね、そうして下さいよ、わたしが、そのように取計らってしまうわよ。