Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme

Aozora Bunko

いったん浅井長政の妻となって、浅井氏亡ぶる時に里へ戻された信長の妹お市の方は、美男として聞えた信長の妹であり、国色として絶倫な淀君の母であるだけに、残んの色香人を迷わしむるものがあって、浅井亡びた後の論功行賞としては、この美しい後家さんを賜わりたいということに、内心、織田の宿将どもが鎬を削ったが、そこは貫禄と言い、功績と言い、順序と言い、柴田に上越するものはない。そこで国色無双の浅井の後家さんは、先夫長政との間の二女を引連れて、柴田勝家に再縁の運命となった。この美色を得た勝家の得意や想うべしであったが、同時に、指を銜えさせられた他の将軍の胸に納まらないものがある。なかにも羽柴筑前守ときた日には、後輩のくせに、功名を争うことと、色を漁ることとは人後に落ちない代物であった。お市の方を得た柴田勝家が、これ見よがしに美人を引具して、ところもあろうにわが居城の江州長浜の前を素通りして、北の庄へ帰るのだ。お市の方をただ通してはならない、その乗物食いとめよと、羽柴の軍隊が柴田の行手に手を廻したなんぞというデマも相当に飛び、この時ばかりは、羽柴筑前守も指を銜えて引きさがるほかには手がなかったと思われる。