Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
そうして、矢立を取り出して、墨汁を含ませて、何をかしばらく一思案。それから、さらさらと笠の内側の一部分へ、
思君不見下渝州
さらさらと認めて投げ出したものですから、その筆のあとを、青年がしげしげと見て、
「ははあ、李白ですな、唐詩選にあります」
「いや、どうも、まずいもので」
青年は、うまいとも拙いとも言ったのではないのに、兵馬は自分でテレて、つかぬ弁解をしていると、
「いや、結構です、君を思えども見ず、渝州に下る――思われた君というのが、つまり、そのうつのやの福松君ですな、福井の城下で、あなたとお別れになって、友情綿々、ここ越前と近江の国境に来て、なお君を思うの情に堪えやらず、笠を贈って、その旅情を留めるというのは、嬉しい心意気です、友人としてこれ以上の感謝はありますまい、この使命、僕自身の事のように嬉しいです、たしかに引受けました」
それと知れば、ただではこの使はつとまりませんよ、何ぞ奢りなさい、とでも嬲りかけらるべきところを、この好青年は、悉く好意に受取ってしまったものですから、兵馬はいよいよ済むような、済まないような気分に迫られたが、今更こうなっては打明けもならず、また、ブチまけてみるがほどのことでもないと、