Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
「何を言っているの、お豊はお前に反いた女じゃないか」
「でも、お豊に済みません」
「済むも済まないもあったことじゃない、お前のようないい男は、女に弄ばれなければならない運命に置かれてあるのですよ」
「なぶり殺しでございますか、もうたくさんでございます、吉田御殿の裏井戸には、千姫様に弄ばれた男の骸骨でいっぱいでございました、わたしは怖い」
「意気地なし」
「逃がして下さい」
「逃がさない」
「罪です」
「罪なんぞ知らない」
かわいそうに、迷って出るにところを欠き、とりつくに人を欠いて、偶然にも暴女王の前へ出現したばっかりに、可憐な色男は逆に取って押えられてしまいました。幽霊が人間の手につかまって、じたばたして悲鳴をあげる醜態、見られたものではありません。一方、傲然として圧服的にのしかかる女王様――閑寂なる秋の夜が、人間性の争闘の血みどろな戦場に変りつつある。あまりの騒々しさに、
「大分お騒がしいことですね、もう夜が明けますよ」
衝立の後ろから、ぬっと面を現わして、にたにたと笑っているのは、しょうづかの婆に紛らわしいあの晩年の小野の小町の成れの果ての木像の精が、生きて抜け出して物を言っているのです。