Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
大きなムク犬、痩せて眼が光る、蓆を敷いた上に行儀よく両足を揃えて、眼を据えて海の方を見ています。
「これは家の犬か」
「いいえ、まぐれ犬でござんす」
女中がいう。
「それを、お前のところで飼っておくのか」
「そういうわけでもございませんが、ここに居ついて動きませんので」
「そうか、これはなかなかよい犬じゃ、大事にしてやるがよい」
「ほんとによい犬でございます、見たところはずいぶん強そうでございますが、温和しい犬で、それで怜悧なこと、一度しかられたことは決して二度とは致しません、まるで人間の言葉を聞き分け人間の心持までわかるようでございます」
「そうか」
「それですから、近所でもみんな可愛がりまして、御膳の残りやお肴の余りなどをこの犬にやっておりますし、犬もここを宿として居ついてますから、こうしておきますので、もし飼主でも出ましたら返してやりたいと思いますのでございますが」
「これこれ、お前の名はクロか、ムクか、こっちへ来い」
竜之助は天蓋越しに犬の姿をよく見ていると、犬もまた竜之助の方をじっと見ています。
竜之助がこの店を立つと、犬がそれについて来ます。
渡場まで来ても犬は去りません。