Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
「お急ぎではござんすまい」
「別段に急ぎもせぬが」
「それでは、こちらに御逗留なさいませ、わたしも江戸へ帰ろうか、それともこちらで暮そうかと考えているところでございます」
「急ぐ旅でもないが……」
「そうなさいまし……江戸から来てみると、どうも淋しいこと、御覧の通り。ここは浜松も城下を西北に外れておりまして、わけてこの近所はお寺が多いものですから、夜などは墓場の中にいるようなもので、自分ながら、たとえ三日でも、よくこんなところに辛抱ができるようになったかと感心しているのでございます、もう女も、こうして淋しいところが住みよくなるようでは廃りでございますね」
吉田通れば二階から招く、しかも鹿の子の振袖で……というのは小唄にあるが、これは鹿の子の振袖ではない、切髪の被布の、まだ残んの色あでやかな女に招かれたこと。
竜之助は、不思議な女だとも思い、旅の一興とも思う。
その夜はこの女と共にさまざまの物語をして後、十畳の一間へ床を展べてもらって竜之助は寝る。
その夜、どうしたものか竜之助の頭がクラクラとする。ガバと褥を蹴って起き上る。
秋草を描いた襖が廻り舞台のように動き出す、襖の引手が口をあく、柱の釘隠しが眼をむく。